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コロナウィルス吹きとばせ! 『100年前の女の子』文春文庫


『100年前の女の子』

足利出身のクラスメートのお薦め本。
約100年前に足利の中農の家に生まれ、100年余の長寿を全うされた、
寺崎テイさんの問わず語りを、第3子で出版界の大先輩。船曵由美さんがまとめられたものですが、これが面白い!
寺崎家の總領・長女として生まれたテイさんは、生後すぐ実母と生別。実母はお姑さん(ヤスさん)があまりにもよくできることに恐れをなし、赤ん坊のテイさんだけを嫁ぎ先に送り、そのまま実家にとどまったと。テイさんは、親戚を転々。その後、寺崎家に戻ったものの、後妻さんの娘が3人。總領とは認められず。祖母のヤスばあさんを母代わりに育つ、

後妻さんと子どもたちに、さぞいじめられたでしょうと思いきや、總領の地位は剥奪?されたものの、母違いの妹たちとも仲良く、それなりにつましくも、のびのび暮らし、女学校に進み、三人の異母妹全員が進学する模範となる。(「足利学校」の土地ですよ)
卒業後は東京に出て、苦学し柄上級学校を卒業。恋をして結婚し、5人の子を全員大学にやり、年老いたとき、編集者になった第3子の由美さんに生涯を語るという運び。

一人の女性(ご長寿であられたことが、まず、いいね!)の一生を縦糸に、足利の風俗習慣を横糸に綴られる本書は、貴重な歳時記とも読めて、じつに興味深く。
足利の人たちの教育を重んじる態度と、所々に示される他者への思いやり、4姉妹が一生仲良しだったこと、そしてゴットマザー・ヤスおばあさんの偉大さに打たれました。

少々ネタばれ気味で恐縮ですが、今のコロナ騒動の憂鬱を吹き飛ばすような、爽快な読後感で、おすすめです。なお、表紙、我が町の誇り、は安野光雅さん。最高の本が、最高の画家をえたと思
います。

わたしには、足利出身のクラスメイトと同窓生が3人います。
足利いいね!♡
この騒動が収まったら、ぜひお訪ねしたい。

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2020年04月14日 10:03に投稿されたエントリーのページです。

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