つらつら思えば、わが同僚のにゃごべえも、故郷を捨ててきたねこで。
数年前、梅雨の晴れ間の某日、
”にゃああ！　入れろよ。ごろごろごろ～”。
　と、岡田事務所玄関前で突如、英国製の赤い首輪につけた鈴を振り立て、激しくデモ。
「あのなぁ、ねこのぼんぼん。うちは今、社員募集してまへんのや。かんにんな」（おかだ）
と、丁重にお断りしたのですが、
”にゃああ、入れろおお！　じんじろじろ～（←鈴の音・きょーぼーに降る首による）”
「そいってもなぁ、ぼん。あんた『首輪』してはるやないですか？　昔からイヌねこさんの首輪は
どちらかのお宅の付属、という意味では－－？」
”るせえ、るせえ・・・にゃあ～ん」（なぜか泣きが入る）
「ともかくな、ぼん、うち今、社員入れるほど、儲かってませんで......」
”にゃまれええ！。　うそつき女!”
「うそついとりまへんワ！　真実や！」（おかだ、少しおこるが、ねこぼんも負けていない）
”入れろおぉ、にゃあおにゃあお、ごろごろごろ（上目でにらむ）

・・・いつだって、押しくら攻撃に弱いおかだは、やむなく入社試験を実施。
「ほんじゃま、ぼんぼん、おなまえは？」
”ニャい！ニャい！　にゃごぉおおおん！”
「はぁ・・・では、お好みの食物は？」
”アマエビ！　ノリ！　イカクン！”
「こういう場合のお返事は、素早いんですねえ。んじゃ、もう一つ。歌－－歌えますか？」
”♪にゃんにゃか、にゃんにゃん、にゃああああん！”
「・・・わかりました。合格・です（おかだうつむく）」

奇妙なデモ型ねこのぼんぼんは、めでたく（？）その日から岡田事務所の
正所員となり（なにしろ弱小事務所なので、試雇用なんてない！　即金即決）
社長からは安直にも「シロ」（毛が白いからって、クロ部もあるよ）なる
呼び名をもらい、おかだからは「にゃごべえ」と呼ばれ、毎月25日（当日が
土日祭日の場合は前日）に、仲良くお給料を頂く仲間となりました。
ときどき、トカゲ、ハトなんかを捕獲して、所内に配ろうとし、他の所員（＝おかだ）及び
関係者全員（＝おもに社長:female）によって、悲鳴とともに拒絶されています。
ご好意は有難いんですがなあ、ぼんぼん！うちら、こわいワ～。ねこ戦利品のハトトカゲ～～～。

☆で、故郷-3/完結編へgo（ニャとyo）。